欧州議会プレスリリース 2009年3月25日
 欧州議会
ナノなど新規食品に新たな規則


情報源:European Parliament Press release 25-03-2009
Novel foods, MEPs set new rules
http://www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/
067-52498-082-03-13-911-20090324IPR52497-23-03-2009-2009-false/default_en.htm


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2009年3月28日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/090325_MEPs_new_rules_novel_foods.html

 新規食品に関するEU規則の更新に関する立法報告書の中で、欧州議会はクローン動物及びその子孫に由来する食品を市場に出すことを禁止するよう欧州委員会に求めている。欧州議会はまた、ナノテクノロジー・プロセスにより製造される食品は使用が承認される前に特定のリスク評価を受け、表示されるべきことを望んでいる。報告書は賛成658、反対15、棄権11で採択された。

 新規食品に関する規則を更新するための欧州委員会の提案は、食品の安全と人の健康を確保しつつ、これらの製品の認可手続きを中央集権化し、手続きを簡単にすることを目的にしている。欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)によって評価された後に共同体リストに掲載された新規食品だけを市場に出すことが許される。

 新規食品は、新規食品に関する最初の法律が制定された1987年5月以前には有意な程度に消費されたことがないような食品として定義されている。これらはナノテクノロジーのような新たな製造プロセスによって制造される食品のように新たに開発されたものもあるが、EU域外の第三国で伝統的に消費されていた食品もある。現在までのところ、20以上の食品がEUでの使用を認可されているが、それらには”ノニジュース”(タヒチの植物から作られる)やサラトリム(低カロリー脂肪)やドコサヘキサエン酸(DHA)リッチオイル(加圧処理フルーツジュース)のような新たな製造プロセスによる製品などがある。

 欧州議会は一般論としてこの提案を支持するが、予防原則に基づき、高いレベルの食品安全だけでなく、消費者、環境及び動物の健康保護を達成することを目指して、クローン動物に由来する食品とナノテクノロジーを利用して製造された食品に関する修正案を採択した。

クローン動物に由来する食品は除外されるべきこと−欧州委員会に新たな提案を求める

 議会は、クローン動物に由来する食品をこの規則の範囲から除外することを望む。議会は欧州委員会にクローン動物及びその子孫に由来する食品を市場に出すことを禁止する法案を提出するよう求める。

ナノテクノロジー・プロセスを用いて製造される食品は安全であり表示されなくてはならない

 議会は、ナノテクノロジー・プロセスを用いて製造され、特定のリスク評価手法を必要とする食品は、それらのリスク評価手法が承認されるまで共同体リストに記載されないことを望む。

 議会はリスク評価手法は脊椎動物の使用を伴ってはならないことを強調し、また非動物テストの使用及びインテリジェント・テスト戦略を支持する。

 さらに、ナノ物質の形状で存在する全ての成分は成分リスト中に明確に示されるべきである。成分の名称の後に”ナノ”という語句を括弧つきで示さなくてはならない。

 ナノ物質の定義が規則の中に含まれなくてはならない。すなわち、”ナノ物質は意図的に製造された1又はそれ以上の外部次元、又は内部構造が、概略100ナノメートル以下の物質を意味する”と記述する。

倫理的要求

 EUで容認される新規食品の共同体リストにある食品を入れるために、必要があれば、倫理と環境の側面に関して、科学と新規技術における倫理に関する欧州グループ(European Group on Ethics in Science and New Technologies)の意見を求めなくてはならないと考えている。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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